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『広告表現 倫理と実務』水野由多加(宣伝会議)

JAROのサイトから

 「インターネットと不況の時代に、マス広告に倫理、というと『きれいごと』『今それどころじゃない』とお叱りを受けるでしょうか」とは編著者の関西大学社会学部教授の水野由多加氏の言。けれども「安心して皆が見ている感じのすること」「そう思いながら誰もがそれを見ること」こそが、安心して皆が見ている感じのしないネット時代のマス広告の生命、効果の根本であると分析・主張するのが本書。それこそが実は「倫理」なのだ、という新鮮な考え方と提起がこの新著の息吹きとなっている。
 本書は、2008年度に行われたJARO主催による「広告研究会」の成果に基づき、その参加者(広告主・メディア・広告会社の三者8名)の視点から、ネット時代の広告表現のみならずマス・メディアと広告価値の核心に迫る。水野氏は16章中の6章で理論部分を執筆、マス広告への類のない大胆な応援で、苦闘する広告実務家に指針を示す1冊となっている。20世紀の常識の届かない、生まれつつある今世紀のマス広告の生命を示す良書。

水野先生は、わたくしの会社の6年先輩。現在は関西大学で教鞭をとっておられる。本書では「向社会性」というキーワードを提唱して、現在のメディアの状況に切り込んでいる。
(P020から)

2008年のNHK放送文化研究所が主催したシンポジウムの席上、「全局全時間視聴率(HUT、テレビの電源スイッチが入っていてテレビ放送が見られている世帯割合の一日中の平均値)」が、この10年で5~6%低下したことが公にされた。この数字は東阪名などの地域においてほぼ民放1局分の視聴率が失われたことを意味している。(中略)シンポジウムの席上では、「テレビは、『ながら視聴』を超えて『視聴の希薄化』が起きている」との報告がなされた。

 これが事実! それでも、
(P177から)

しかし、いかなる意味においても、人は一人では生きていけない。「私」は、「私たち」であることを欲する。

 それが、真実。
 共著なので、各章ごとにばらつきがあり、重複があるのは仕方がないところだが、ブログ「千里一隅(せんり・いちぐう)」の更新を続ける筆者の視点の鋭さには(月並みな言葉で恐縮ですが)まさに「目から鱗」。
(P252から)

──ソフトバンクの白戸家の人々シリーズCMについて──
犬のお父さんが「不在の父の家族への配慮」という至難の(そんな難しいことをよくできたものだと今更ながら思います)カテゴリーに携帯電話を組み込んだこと

 おお、そうだったのか~!
 広告実務を経験していない業界志望者の就活生さんたちには、ちょっと実感がわかないかもしれないけれど、しょーもない「テレビCMの終焉(特定の著書を指すものではありませんw)」みたいな駄本を読むくらいなら、ランチ1回がまんしてこの本を読むべき。
 広告の現場にいる人も、単に「景気が回復すればなんとかなるかも」なんて、お気楽ご気楽な妄想を脱するためにも、飲み会1回減らして熟読すべき。
 また巻頭ににもあるように、著者が関西の大学に在籍することで、この本が産まれたように日本の広告業界にとって、関西の「自由な気風」が日本の広告業界を健全にする存在であることを確信した次第。

★水野先生、GJです~(<それが僭越!^^;)

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