オススメ本

偏差値40から良い会社に入る方法

 

本書は、序章に

従来の多くの就活本は、自分で就職活動を意欲的にこなし、その準備に余念のないような、就職のエリートたち(「就職コア層」)を対象に書かれています。本書はそのような就職のエリートたちに向けて書かれたものではありません。

と書かれているけれど、よく読んでみると全ての就活生にとって最も大切なことが述べられている。たとえば──

学生が売りものにしたがるサークル活動やアルバイト経験、資格取得などには低い評価しか与えていない。それをはるかに上回る比重を、学生のコミュニケーション能力や積極性、やる気といった、一般的な事柄においている。(P101「採用側と学生側もコミュニケーション不全」から)

とか、

偏差値60の大学の学生も、40の学生も、就職のスタートラインにおいては、ほとんど変わりません。関東圏ではMARCH、日東駒専、大東亜帝国と、それ以外の40前後の無名大学の学生は、ほとんど差異がありません。(P79「偏差値60の大学から採用があれば、偏差値40でも十分受かる」から)

など、である。

縁あって広告業界志望の就活生の支援をしていた経験からいっても、これは必読の1冊であることは間違いない。最後に目次だけでも引いておこう。

第1章 ゆとり世代の就職は「内定一社」で終了
第2章 失敗しない会社選びのコツ
第3章 面接はコミュニケーション能力が決め手
第4章 まやかしの内定を見抜け
第5章 世界同時不況で就活はこう変わる

読書が苦手な向きには、第5章だけはちょっと分かりづらいかもしれないが、あとは平易な文章で楽に一気に読める。なにより教員として、学生に対す る暖かい視点が良い。それは(常々わたくしが言っているように)若い新しい人たちこそが「未来」だからなのだ。子どもや若者を大切にしない社会に未来はな い。

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『広告表現 倫理と実務』水野由多加(宣伝会議)

JAROのサイトから

 「インターネットと不況の時代に、マス広告に倫理、というと『きれいごと』『今それどころじゃない』とお叱りを受けるでしょうか」とは編著者の関西大学社会学部教授の水野由多加氏の言。けれども「安心して皆が見ている感じのすること」「そう思いながら誰もがそれを見ること」こそが、安心して皆が見ている感じのしないネット時代のマス広告の生命、効果の根本であると分析・主張するのが本書。それこそが実は「倫理」なのだ、という新鮮な考え方と提起がこの新著の息吹きとなっている。
 本書は、2008年度に行われたJARO主催による「広告研究会」の成果に基づき、その参加者(広告主・メディア・広告会社の三者8名)の視点から、ネット時代の広告表現のみならずマス・メディアと広告価値の核心に迫る。水野氏は16章中の6章で理論部分を執筆、マス広告への類のない大胆な応援で、苦闘する広告実務家に指針を示す1冊となっている。20世紀の常識の届かない、生まれつつある今世紀のマス広告の生命を示す良書。

水野先生は、わたくしの会社の6年先輩。現在は関西大学で教鞭をとっておられる。本書では「向社会性」というキーワードを提唱して、現在のメディアの状況に切り込んでいる。
(P020から)

2008年のNHK放送文化研究所が主催したシンポジウムの席上、「全局全時間視聴率(HUT、テレビの電源スイッチが入っていてテレビ放送が見られている世帯割合の一日中の平均値)」が、この10年で5~6%低下したことが公にされた。この数字は東阪名などの地域においてほぼ民放1局分の視聴率が失われたことを意味している。(中略)シンポジウムの席上では、「テレビは、『ながら視聴』を超えて『視聴の希薄化』が起きている」との報告がなされた。

 これが事実! それでも、
(P177から)

しかし、いかなる意味においても、人は一人では生きていけない。「私」は、「私たち」であることを欲する。

 それが、真実。
 共著なので、各章ごとにばらつきがあり、重複があるのは仕方がないところだが、ブログ「千里一隅(せんり・いちぐう)」の更新を続ける筆者の視点の鋭さには(月並みな言葉で恐縮ですが)まさに「目から鱗」。
(P252から)

──ソフトバンクの白戸家の人々シリーズCMについて──
犬のお父さんが「不在の父の家族への配慮」という至難の(そんな難しいことをよくできたものだと今更ながら思います)カテゴリーに携帯電話を組み込んだこと

 おお、そうだったのか~!
 広告実務を経験していない業界志望者の就活生さんたちには、ちょっと実感がわかないかもしれないけれど、しょーもない「テレビCMの終焉(特定の著書を指すものではありませんw)」みたいな駄本を読むくらいなら、ランチ1回がまんしてこの本を読むべき。
 広告の現場にいる人も、単に「景気が回復すればなんとかなるかも」なんて、お気楽ご気楽な妄想を脱するためにも、飲み会1回減らして熟読すべき。
 また巻頭ににもあるように、著者が関西の大学に在籍することで、この本が産まれたように日本の広告業界にとって、関西の「自由な気風」が日本の広告業界を健全にする存在であることを確信した次第。

★水野先生、GJです~(<それが僭越!^^;)

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コミュニケーションとは(再) オススメ本(3)

このブログを始めたとき、いちばん最初に書いたエントリーです。大野晋さん著『日本語練習帳』 (岩波新書) のレビューです。

この本がなにより優れているのは、ここに収められている知識の量ではなくて著者の日本語に対するスタンスの明快さです。最もそれが理解しやすいのは巻末の文章でしょう。

「自分の思うところをaと表現したとき、相手がa’と取ったとしたら、分からない表現をした自分が悪い。相手がaと取れるように、aとしか取れないような形式を選び出して表現することを心がけなくてはならない。言葉とは天然自然に通じるものではなくて、相手に分かってもらえるように努力して表現し、相手をよく理解できるようにと努力して読み、あるいは聞く。そういう行為が言語なのだと私は考えています」

コミュニケーションにとっていちばん大切なのは「謙虚さ」、そして「努力」。なんと深い言葉でしょう。

例えば恋をして(いきなりな例ですが)相手のことを好きになったします。「あの人は、どういう人だろう?」「きっと、こんな人に違いない…」「ああ、こんな人だったんだ!」そういったイメージの積み重ねを繰り返して、人間関係を築いていくのです。(しかも厳密に言うと、そのイメージと実体が一致することは、決してないんですね)

 「わかる」「わかりあえる」というのは、このようにとても曖昧で不確実なものなのです。ですが、それを人は「信じて」「信じあい」ますよね。そういった人間同士の関わりあいが“コミュニケーション”だとしたら、そこに「謙虚さ」と「努力」がなければ、過去から未来へとつづく人の営みが存在しうるはずがないのです。

面接でもエントリーシートでも同じことが言えます。「自分のことをaと表現したとき、相手がa’と取ったとしたら、分からない表現をした自分が悪い。相手がaと取れるように、aとしか取れないような形式を選び出して表現することを心がけなくてはならない」。人生のすべてが自己表現です。自分自身のことを表現できない人が、他のものを褒めたり薦めたりできるはずがないではあーりませんか。

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「エンタメ」の夜明け オススメ本(2)

まず「夜明け」ってコトバがよい。“常に更新される明日”という感じ。

世界最高のエンターテインメント・カンパニー、ディズニーを圧倒した、冒頭の「史上最大のプレゼン」に感動する。
広告会社とくに最大手のdentsuを志望する学生諸君は必読でしょう。

さとなおさんのレビューも読んでおくべき。

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連載再開! オススメ本(1)

先ずはこれでしょう。>>『広告業界就職ノススメ。(増補版)』
 ↓amazonにポストした拙レビューから

新作16本だけでも1260円の価値がある。
考えて欲しい。生涯のキャリアプランにとって、新卒時に「どのような業界、企業に就職するか」ということの重大さを。わが国の労働市場が随分変わってきたとはいえ、いや特に今のような経済状況の厳しいときにこそ悔いのない就職活動をできるかどうかが大切になってきている。広告業界志望者だけでなく「コミュニケーション」に関わるすべての(つまり多くの)企業・団体で働きたいと思う学生なら、この本に辿りつけるかどうかで「運命が変わってくるのではないかと思うほど」(本書P83から)だ。もちろん、同名のブログが今でも公開されているから、タダで読むことはできる。しかし、こうして書籍になってこそ分かる、身につく、ためになることがある。メディア・コンテンツに関わる仕事につきたいなら自明のこと。僅かな金をケチって旧版を買うと損をしますよ(笑)

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必使本『イラスト図解! 就職活動ワークブック 』

51pq48jr1s 本というのは「人」と同じで、読めば読むだけ(会えば会うだけ)自分が成長することができます。ですから、いい人「いい本」に出会うことが大切なんですね。この忙しい時代・時期に本を薦めるというのは、わたくしが「ある程度、お金と時間をかけても、必ずそれ以上の価値がある」と考えているからです。

前置きが長くなりました。
http://www.amazon.co.jp/dp/4820744712/
ちなみにamazonの個別URL↑は「co.jp/」と「dp~」の間が省略可能です。
『イラスト図解! 就職活動ワークブック』鶴野充茂 著 日本能率協会 刊 1050円

わたくしは運良く第一志望の会社に就職できましたから、幸いなことにこの本は不要でしたが、率直な読後感として「もっと早くこの本が出ていたら……。ここまで書いていいのか? こんなことまでスキルを分解して解説して~」と驚きました。読まないと、損。いや使わないと大損! という意味で今回のエントリーのタイトルとなった次第です。

この本でいちばん気に入ったコトバを引いておきます。
巻頭の「働く」とはどういうことでしょうか? という頁(P11)

つまり、働くことは、約束を守り続けるということなのです。

みなさんも「守り続ける価値があると思う仕事」を見つけてくださいね。
(ゆうべのチャットでつい思いついたフレーズ)
♪家族がいちばん、仕事が2番。3時のおやつはデブの元♪失礼しました~

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お笑い「外資系広告代理店」入門

意外と、というか広告人によるブログというのは結構ありますし、面白い(わたくしが同業だからという点を差し引いても)ものが少なくありません。
で、愛読しているブログの一つ「ある広告人の告白(あるいは愚痴かもね)」(もちろん、このブログのタイトルは同名の名著に由来しているもの)からお笑い「外資系広告代理店」入門を紹介したいと思います。面白いですよ。

●外資系では日常会話に英単語が混ざる
・グルイン=グループインタビュー。座談会式消費者調査のこと。
・ラーン=学ぶ。ここでは、グルインから重要課題を見つけだすこと。
・コンシューマー=消費者。
・インサイト=心理洞察。
・ドメスティック=国内。通常、日本の広告代理店を言う。
・ドメドメ=日本の外資系広告マンが使うスラングでやぼったい広告のこと。
・アグリー=それでいきましょう。
・ノットアグリー=それは違うだろう。
・アイシンクアイアグリー=まあみんながそう言うなら‥

それと、社名が漫才コンビっぽいんですよね。いちおう匿名で書いているので、ひとつ前の会社を例にとります。サーチ&サーチ・ベイツ・読広。電話で「は い、サーチ&サーチ・ベイツ・読広です」。舌噛みそうですよね。だからSSBYと略したり、サーチ&ベイツと略されたり。某お得意先の受付で手続きをする と、きれいな受付のお姉さんが「サーチ&ベイツさん、お見えです」って。思わず「サーチでーす!」「ベイツでーす!」「二人あわせてサーチ&ベイツでー す!」って言いたくなりました。

わはは! ドメドメのわたくしといたしましても、すごくよくわかりますが、逆に言うと創業者の名が会社の名というのはまさに「人が財産」というか“ブランド”そのものだと思いますねー。むかし、業界第2位の会社に内定した学生さんが彼のおばあさんに「○○堂に内定しました」と報告したところ「饅頭屋かい?」と言われて落ち込んだという笑い話もあるくらいですから。

話を戻しますと。広告人のブログが多いということは、それだけ性質として自己表現に対する欲求が強いのでしょうね。いいたがりというか。クライアント作業で言えなかったことの欲求不満とか、わたくしのようなクリエーティブのなりそこないというか(笑)
いやー、いい時代になりましたね。もっとも、守秘義務とか就業規則を順守するといったコンプライアンスの重要性は言うまでもありません。

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今日は何の日(8/12)

そう、今日という日は「国際青少年デー」だったり「君が代記念日」だったり(←この「だったり+だったり」も品がない! と指摘される言葉だったりw)しますが。22年前、日航機が御巣鷹山に墜落した日でもあります。(「8月12日 今日は何の日~毎日が記念日~」から)

『航空安全の日,茜雲忌』 1985(昭和60)年、日航機123便が群馬県御巣鷹山に墜落し、520人の犠牲者を出した。生存者は4人だった。金属疲労による圧力隔壁破壊が原因とされている。遺族らがつくる「8・12連絡会」が編集したメッセージ集のタイトルから「茜雲忌」とも呼ばれる。

わたくし自身、この事故の直接的な当事者ではないのですが、関連するさまざな出来事や想いがあるのは事実です。(ニックネームから分かるとおり、1985年はわたくしが入社した年でもあります。)しかし、このブログで到底書けるようなことではありませんし、またその資格もありません。ですから、2つの作品を紹介することにします。

沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫) 山崎 豊子 (著)
この小説の主人公が、労働組合の委員を務めたりということもあって、大きな組織に対峙する個人の尊厳というようなことを深く考えさせてくれる大作です。

NHKドラマ : 「クライマーズ・ハイ」
原作は、この事故をテーマにした横山秀夫さんの傑作。「未曾有の大事故を報道する地元新聞記者たちの1週間を描いた」見事なドラマでした。DVD化もされているようですね。 新聞記者やジャーナリストを目指している方にとっては必見(必読)の作品だと言えるでしょう。

2007年8月12日の関東地方は晴天で、あかね雲は出ていない模様です。今夜は、天上の星となった520人のことを想い、少々の猛暑などは我慢することにします。

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『けなす技術』──広告は『褒める技術』──。ジャーナリズム+広告=マスコミ

025159540000_1 けなす技術 俺様流ブログ活用法
(山本一郎著/\1,575/ソフトバンクパブリッシング)

切込隊長こと山本一郎氏(以下切隊)の手によるブログ解説本です。そこにとどまらず、ネットにおける玉石混交の議論も手際よくまとめられており、軽妙な文体もあってスラスラと読める本となっています。何よりわかりやすいし、おもしろい本です。

「インターネットとは基本的に文字だけのメディアである」と言い切り「意見というのものは、その人単独のものではなく」て「日本固有の文化によって育まれてきた価値観の中に温かく包まれて形成されている」と述べる切隊の態度はまたレガシーなメディアでネットを無理解のまま批判する知識人よりも、はるかに水準が高いと思います。

ジャーナリストとは批評家のことである、と書いたのは亀井勝一郎ですが、その意味で切隊の「けなす技術」はいつの時代でも有効なスキルといえるかもしれせん。(なんちて)

●亀井勝一郎(文芸評論家)のことば
 ほめられると、それが誤解からであっても、自分は理解されたと思いこむ。
 けなされると、それが正しい理解からであっても、自分は誤解されたと思いこむ。

(ここまで“review-japan”「BOOK DARTS」から抜粋・修正・転載)

一方、広告は基本的に「商品やサービスのいいところを褒める」ものでありまして、これが「社会や経済の事柄を報じ、時に批判する」ジャーナリズムと同じ媒体(メディア)に載るところがマスコミの面白いところであり、不思議なところでもあります。

両者は常に両輪であって、牽制しあいつつも互いの存在を補完する(べき)ものであるというのが、わたくしの持論なのですが、昨今の報道や事件を見ているとややそれが失われつつあるというか毀損されている気がして非常に残念な想いがあります。PRなどはまさにこの両者が健全であってはじめて成立する活動だと思いますし、この点で「ある対象の悪いところを探す能力」だけを発揮してもダメなんだ、という梅田もっちーの意見にも賛同するものであります。↓

(ご参照:My Life Between Silicon Valley and Japan - 直感を信じろ、自分を信じろ、好きを貫け、人を褒めろ、人の粗探ししてる暇があったら自分で何かやれ。)

で、人を褒めるスキルを向上させる方法の一つが「紹介文を書く」ことですよ、と。(しつこい?^^)

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ウォシュレットから語るブランド論

表記にうるさいと言えば、先日広告労協の新年会が開かれまして、今年初めて築地の労協事務所に行ったところ、なんとトイレに温水洗浄便座(三洋電機製)がついていました。聞けば電通労働組合からの事務所転居お祝いだということです。(電通労組さん、ありがとうございました!)

ここで本題です。勘の良い読者の皆さんならわたくしの言いたいことはもうお分かりでしょう。そうです、この製品のことを「ウォシュレット」と呼ぶのは正確ではない、ということです。ちなみにSANYO製の温水洗浄便座のブランド名は「ki・re・i」というらしいのですが、あまり聞きませんね。

ただ、もしあなたが広告会社に入って、松下電器の担当営業になってナショナルの商品担当になったとして、仮に「御社のウォシュレットの新製品についてですが……」と言ったら、即「出入り禁止」になるでしょう(笑)

松下電器製の温水洗浄便座の名称は「ビューティ・トワレ」と言います。INAXだったら「シャワートイレ」ですね。 このように、固有名詞と一般名詞の違いは極めて重要です。以前のエントリーで紹介した本に関して書いたとおり、広告業界において「ブランド」をうんぬんする前に、社名や商品名を間違えることは致命的です。クライアントのブランドを世の中に広めるための仕事をしているんですから。

ウォシュレットに関していえば、ウォシュレット - Wikipediaに、

温水洗浄便座では高いシェアを誇り、INAX(同社の名称は「シャワートイレ」)や他社製の同種のものも含め、ウォシュレットと呼ばれるほど、名称も定着している。

と書かれていて、これはこれでブランド認知の一つの究極の目標だと言えるでしょう。あなたは、一般名称にまでなった固有名詞(ブランド)をいくつ挙げられますか?

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